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薬剤師の基本倫理と時事倫理をご案内します。

倫理学はヒトがいかによく生きるかを知るために必要な学問です。古代ギリシアのアリストテレスや古代中国の孔子が唱えた哲学や、徳に始まり、善、幸福、義務、愛、尊重、他者といった倫理に関する研究対象は、長い年月を掛けて多くの倫理学者に受け継 がれ、研究されて、その基礎は固められたと考えていいです。これを当サイトでは、基本倫理(Basal Ethics)と呼びます。

薬剤師の基本倫理と時事倫理「自己決定と倫理」

一方で、「世の中で通用している常識がすべて正しいとは言えないように、世間の人々が倫理的によいと認めていることでも、実は倫理的によいと言えないことがあるのではないか」、「倫理的によいとは、単に世間の人々がそのように認めているということとは、また別のことではないか」と自分には納得ができない場面に遭遇することがあります。

これは自分にとってよいものを選択する際に、倫理に不可欠な自己決定という判断がなされることによります。自己決定というのは、不動の根拠のもとに自身の深い満足に達しなければならないため、表面的なものだけでは済まされず、単に世間の風潮だけでは決まりません。

自己決定は個人の経験に基づいて行われます。経験とは一人ひとりが異なった環境、人間関係の中から形成された固有のものであって、その独自性から個人を定義するものです。

世間で正しいとされていることを単に受けとめ、それに従うのでは他者とのかかわり合いの中から得た経験を無意味にしてしまいます。どんなに多くのことを見たり、聞いたり、言ったりしても、自己決定権の行使には至りません。

私達は他者とのかかわり合いから成り立つ社会の中で、自己の経験をもとに決断し、選択して、初めて真の倫理的判断を獲得するとともに自己を明確化できます。決断や選択が各人の理論を確信をもったものとし、現実の諸問題と出会ったときに、それらにどう対処し、それらをどう考えたらよいか導いてくれます。

以上のように、倫理は他者からの働きかけを受け止めるという受動的な要因をもつと同時に、自己決定による判断を下すという能動的な要因をもちます。

したがって、私達は自分にとってよいものを選択するために、その場に応じて受動と能動という相反する倫理の要因を取捨選択し、現実がもたらす幾通りの道を、迷ったり立ち止まったりしながら生きて行かざるを得ません。

また、倫理が各個人の倫理的善悪の判断によって形成された社会の慣習に基づくとすると、それは社会とともに変化します。何が倫理的によいとされるかは、時代と場所によって異なっていきます。

要するに、いつの時代にも不変な倫理や、どこでも通用する倫理は存在しません。なぜなら、倫理とはその時代、その地域の人々がつくりあげた独自のルールなのですから。

倫理は人々の歴史を通じて形成され、修飾を受け、さらに将来の世代にまでも影響を与えます。私達は社会条件を大いに反映する倫理の特質を調べ、よいとは何かを追求して行かなくてはなりません。

参考になさってください。

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